突然投函された無人島旅行キャンペーンの案内。
営業の日々の鬱憤を晴らしに参加することにしたけど、
そういう関係者以外の人と話すなんて久しぶり過ぎて…不安だった。
けど、クルーザーで出会った人達はとても親切で、次第に心は解れていった。
―あの夜が訪れるまでは。

【不定の狂気】
健忘症（2020/10/12～2021/1/12）
トリガー：ゴミ捨て場を見る

気が付いたら目の前に山梨君がいた。しかも目隠しをされた状態で…。
パイを食べさせてあげれば良いって、どういうことなのかわからなかったけど
こうして元の生活に戻れたなら、とりあえずは良かった。

なんであんなことに………！！
親しいとは言い切れない、でも何かと不思議な縁のある彼と、
半ば強制的に事に及んでしまった。後悔と恥ずかしさでいっぱい。

おどおどした男の子。眼鏡を外すと物凄く顔がいい。
世間知らずっぽいけど、他人を思いやれるとても良い子。
そんな彼に色々と迷惑をかけている自覚はある…。
さすがに、このままではいけないなと思う。

売れっ子の声優さん。
光の当たるところにいる人って感じで…憧れた。羨望っていうのかな。
のんびり屋さんで懐の深い性格が、彼を大舞台に引き上げたのだと思う。
これからも頑張って。

芸術性を感じる物に目がない人。—―それだけじゃなかった。
あたし達を計画的に殺して願いを叶えようとした、殺人鬼の正体が彼だったなんて。
怪物を従えて。ナイフを突き付けて。その姿はあたしにとって恐怖の対象でしかなかった。
あんたの願いが…誰かの為なんかじゃなく、自分の欲望のためであることを、祈るばかり。