遅刻ギリギリだって言うのに、何かに意識を飛ばされて妙な空間に拉致られた。
寒いし暗いし、キモい生物に遭遇するし…本当に嫌になる。
…しかも俺のパートナーは人でもなんでもなく、AI。
AIだったら友達になれるんじゃと思ったけど…卑怯な俺にそんな資格はないね。
…俺を地球に帰してくれてありがとう。ごめん。……さよなら。

…どうしてもお酒の力が借りたくなったのかな。
気が付いたら海の上の、なんかオシャレすぎるバーにいた。
バーテンダーの人…築城さん…が言うには、ひと時の夢だとか。
夢だし…と思って…、お酒ガンガンいったのがいけなかった。
今思えば恥ずかしいことしかしてないけど…正直、楽しかったな。

目が覚めたら、知らない床に寝かされてた。
その上壁から体が抜けない上、パンツ脱がされてて最悪だった…。
誰だか知らないけど、面白がってんだったら止めてくんないかなぁ……

気が付けば、乗った覚えのないリムジンの中。
全くもって意味が分からないけど、ゲームは楽しかったしあんなに叫んだのも久しぶりだった。
……けどまた調子に乗っちゃったな。ほんと、恥知らずだと自分でも思う。

いつもと同じ、平穏な日常ってやつだと思ってたけど。
…今度は何？俺の仕事ってこんなだったかな。
俺の不幸体質は職場にまで影響し始めちゃったの？いい加減にして欲しい。

誰かにいきなり拉致られた先の、宇宙船の中で出会ったAI。
高性能なだけあって、人の懐に飛び込むのは本当に上手いよね。
AIの癖に、すっかり絆されて…俺って馬鹿だな。
…せめて『ごめん』と『ありがとう』が言えたら。

夢の中のバーの、マスター。
めちゃくちゃ美味しいカクテルと、…沁みる言葉をくれた人。
はぁ、色々迷惑かけちゃったな…。すいませんでした。

夢の中のバーの……看板犬。
俺がお酒くさかったから鼻曲がっちゃったんだろうな。
…でも…撫でさせてくれた。柔らかかった。

夢の中のバーで出会った、営業マンの人。
会社の闇について、話し合った…話し合っちゃったよ…。
気さくにゲームに誘ってくれたり、一緒に歌ってくれたり…申し訳なかったな。
俺とは根本的なとこが違う。羨ましいし、良いなって思う。

夢の中のバーで出会った、伊達眼鏡のオシャレな人。
物腰柔らかそうな…大人として出来上がってるんだろうなこういう人って。
曲リクエストなんて求めちゃって………正直引かれて当然だと思う。
そういえば鼻歌だけ歌ってくれてたのは、合わせてくれてたのかな…。

なんかあの訳の分からないリムジンの中で出会った人。
すごいおどおどしちゃってたな…。絶対引いてたよな。
後半の俺のテンションヤバかったせいだと思う。すいませんでした。